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岸田政権の「アセットオーナー改革」、国内企業年金は静観 負担増に懸念も

国内企業年金基金の多くは政府の「アセットオーナー改革」方針に対して今のところ静観の構えを示している。年末までに策定予定の政策計画を見極める姿勢だが、業務負担が増すとの懸念があるほか、支持率が低下する岸田文雄政権のリーダーシップに不安があると冷ややかな声も出ている。

岸田政権が掲げる「資産運用立国」は、2000兆円を超す家計の半分を占める現預金を投資に呼び込み、経済を活性化するため、資産運用業を高度化させることを1つの目的としている。実現のために資産運用業や年金、保険などを運用するアセットオーナーにも改革を求める方針だ。

アセットオーナーに投資を奨励するだけでなく、資産運用業界の高度化を目指し、アセットオーナーに求められる役割を明確化した「アセットオーナー・プリンシプル」を来夏めどに策定する。年金や保険金の受益者に適切な運用成果をもたらすために、資産運用会社の選択や運用プロセスの「見える化」などを求める。
内閣府と金融庁は、それぞれ研究分科会を設置し、年内に包括的な政策計画を発表する予定だ。

ただ、国内の企業年金から積極的な評価はまだ聞かれない。ニッセイ基礎研究所 (NRI) の金融研究部取締役研究理事兼年金総合リサーチセンター長兼ESG推進室長の德島勝幸氏は、その方向性は評価しながらも、企業年金業界は政府が計画する改革の明確な緊急性を感じていないと指摘する。

「政府は決して間違ったことは言っていない」としたうえで、明確なメリットが見えていないことが懸念されていると德島氏は述べる。企業年金関係者は、年内に取りまとめられる予定の研究分科会の報告書を見てから、今後のどのように対応するか判断するだろうという。

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企業年金連合会が9月29日に発表した「資産運用立国の実現に向けた取組」によると、2021年の国内の退職給付積立金の積立額は492兆円、そのうち55%にあたる271兆円が公的年金の積立金だ。確定給付年金は厚生年金基金と合わせて70兆円、退職給付積立金に占める割合は14%にすぎない。

日本における資産運用セクターが運用する資金は、生保、損保、大学ファンド、学校法人、各種財団など合計で800兆円を超えるが、企業年金の規模はそれほど大きくない。

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